あいんの日記

映画や漫画の感想を書きます!宜しければ参考にしていただきたいです!

ファーストラヴ

 

 

 「トラウマ」を客観的に論理的に視覚化された作品でした。

 「トラウマ」って非体験者が考えるものだと、レイプされた、暴行されたとか実際に手を下されたものだと思います。しかし、本当は触られた、性の対象で見られた、口説かれたなど男性からしたら当たり前、悪意のない行動が女性を苦しめているのだと切実に訴えかけていました。主人公由紀も実の父親を殺した環菜も男性にレイプされるなどの外道な暴力を受けたことはありません。しかし、確実に傷ついている心を懸命に守るために嘘をつき続け、逃げ続けます。 環菜はその傾向がよく見られ、好きでもないのに体を触られても嫌だと言えず、笑ったり、好きだと思い込んでしまったり、経験豊富だというように嘘をついてしまいます。その嘘はより男性の気持ちを持ち上げてしまい、環菜だけが辛い気持ちを抱いてしまいます。そのためずっと彼女の行動と気持ちにギャップができ続けますが、そのギャップを由紀が明らかにします。由紀が環菜の気持ちを明らかにする過程がとてもわかりやすいので、誰でも分かるような形で「私は傷ついている」というメッセージが訴えられます。この「私は傷ついている」というメッセージは私が考えたのですが、この映画1番のテーマではないでしょうか。思春期という多感な時期に負った傷は永遠に心の奥底に残るものです。それが性的なものであればあるほど特に残ります。しかし、大人になるにつれ、性に、自分の中の「女」、周囲からの「女」に慣れるにつれて段々麻痺してくるのです。しかし、確実に「私は傷ついている」ということを明らかにすることで自分を大切にすることの重要性を静かだけど確かに燃え続ける怒りと共に訴えかけてくれています。女性は勿論、男性に見てもらいたい映画です。これぐらいなら許してもらえる、大丈夫という思いがどれだけ女性を傷つけるのか、また、自分の妹、母親、奥さん、母親などの大切な女性が同じことをされたらと考え欲しいです。保健体育の教材にするべき映画だと思います。