あいんの日記

映画や漫画の感想を書きます!宜しければ参考にしていただきたいです!

生きてるだけで愛

 

 

主人公はうつ状態が続き、無職、さらに過眠症の趣里さんが演じている寧子です。その彼氏の菅田将暉さんが演じる津奈木は雑誌の編集社で働いていて感情が表に全く出ないような男です。2人はある飲み会で寧子が飲みすぎて帰れなさそうだったので、津奈木が連れて帰ることになりそこから流れで付き合うことになります。

 映画は寧子が布団の上で寝続けるシーンから始まります。部屋は片付いていなくて洗濯物やタバコのゴミもある状態です。そこに同棲中の津奈木が帰ってきてコンビニに行くと言ってまた外に出ます。寧子はやっと起きますが、終始イライラしてたばこが切れていてされに切れます。そこで彼にコーラとタバコをメールで頼みます。彼が帰ってくると寧子はやっぱりイライラしていて、コーラを閉めた蓋が固いからと津奈木を怒鳴ります。見ている側からしたら寧子の言ってることやイライラしている理由が不安定すぎてビックリするかもしれません。こんなことで怒るの?と突っ込みながら見ていました。そんな中、寧子に姉からちゃんと生活してるかどうか確認のために電話が来ます。ニートしてるだけでは愛想つかされると言われ腹が立ち明日バイトの面接に行くと啖呵を切ります。しかし、面接は10時半からだったので時計を3個用意していましたが起きることが出来ませんでした。姉から面接どうだったかと連絡がきて、説明すると自分の不甲斐なさに絶望したのかもう私無理なのかなと呟きます。これでは行けないと思い、夜ご飯を作るために外に買い物に行きます。津奈木に何が食べたいか連絡すると、ハンバーグと目玉焼きとかと返事がきます。寧子が買い物に行くと、ひき肉が売り切れていたり、卵を割ってしまったり…。どうしてそんなことが出来ないのとつい思ってしまうような光景でした。そこで安堂(仲里依紗)に会います。彼女は津奈木の元カノで、自分の方が彼にふさわしいからわかれてほしいと言います。寧子はお金がないから家を出られないから別れることができないと言い切ります。そこでお金を稼がせるために話をしていたカフェで強制的に寧子を働かせることになります。寧子は働けるかどうかが不安で、無理かもとずっと安堂に言いますが、家に帰ると働き口が見つかったと少し嬉しそうにしていました。次の日から10時に集合なのにさっそく遅刻してしまいます。お皿もわるし、様子を見に来ていた安堂にウイスキーをかけてしまいます。初日から散々な出来栄えでしたが店員の莉奈(織田梨沙)からよろしくと声をかけられたり、オーナーや奥さんの優しさにここでならやれるかもと元気が出ます。家に帰る途中で津奈木に会い興奮気味で職場での話をしますが、ずっと疲れたような表情で家につくとすぐに寝てしまい寧子は苛立ってしまいます。津奈木は勤めてる雑誌編集社の仕事量と多さや、タレコミの方法への不満に気が付き疲れが溜まっていたのです。次の日、さらに寝坊してしまいますが頑張って行きます。安堂にまた嫌味を言われながらも仕事を頑張っています。しかし家に帰って津奈木と話していても話を聞いてくれなかったり、適当に相槌を打つ姿に腹が立ち、それをきっかけに次の日から仕事に行かなくなってしまいました。しばらく経つと、安堂が家にやってきて無理やり引っ張られ仕事場に連れていかれます。無断でずっと休んでいたことはダメな事だと注意はされますが、それ以外には何も触れずに仕事に入るようにオーナーも奥さんも莉奈も言ってくれました。その夜4人でご飯を食べた時に、みんな寧子の過眠症やうつ病がどういうものなのかとか、こうしたらいいんじゃないとか理解を示してくれます。家族だよと言ってくれて受け入れようとしてくれていました。寧子はそれが嬉しくて楽しそうに話していましたが、話した内容が理解されなかったことでやっぱりみんなには私が違うことをバレてしまうと、切羽詰まった様子でトイレで津奈木に電話をしてしまいます。寧子の様子がおかしかったため津奈木は探しに走ります。オーナー達も寧子がトイレからなかなか出てこなかったため声をかけますが、寧子はトイレを潰して停電させてお店を飛び出してしまいます。そのまま笑いながら服を脱ぎながら街を走っていきました。津奈木が寧子を見つけた時には裸でした。そこで寧子が何を思っていたのかが少し津奈木に理解することができます。出会った時、酔っ払いながらこんな風に寧子は思ったことをそのまま口に出していました。津奈木はこの瞬間、感じないように目を瞑っていたことに目をつむらず伝える寧子のことが好きで付き合ったとつたえます。ここがおそらく映画のサブタイトルになっているのだと思います。家に帰り、電子レンジを使おうとしてブレーカーが落ちていしまい暗闇の中2人が抱き合って映画は終わります。

 この映画は人が誰しも持ってる自分の「変なところ」、「ダメなところ」を映し出しています。今は人と違うことがいいことと見なされることもありますが、見なされない場合も大いにあります。特に寧子の場合、話している内容や不甲斐ないところなど「他の人と違う」ところが顕著に出ています。彼女はそのことに人一倍悩んでいて、直そうと思っても無理で自分が自分である限り切り離すことが出来ないことに絶望していました。それを津奈木に伝えるシーンは絶望を感じたことのある人、劣等感を自分に持っている人なら共感できるシーンだと思います。ぐっと心臓を掴まれたような衝撃がありました。それをここまで直接的に伝えられているこの映画は凄いと感じました。映画に出てくる安堂はとても高飛車でお節介でメンヘラな女の人で、世間の寧子のような反社会的な性質の人に対する声をそのまま伝えたようなセリフが多く出てきます。耳が痛くなったり、うるさいなと感じますが、皮肉にも寧子に対する言葉を否定することが出来ません。世間と個人、そしてただの傍観者どちらの思いもわかりやすく描かれていて面白かったし、それを綺麗に暴力的な衝撃で伝えてるからより面白かったです。